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「新学術領域研究」交替劇:研究項目A01

研究組織2010年度研究実施計画2010年度研究実施計画2011年度研究実施計画2012年度研究実施計画2013年度研究実施計画2014年度研究実施計画
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研究組織
代表者
西秋良宏:東京大学総合研究博物館・教授・先史考古学;統括・考古学資料解析
研究分担者
加藤博文:北海道大学・アイヌ・先住民研究センター・教授・北ユーラシア考古学;シベリア考古資料の解析
門脇誠二:名古屋大学・総合博物館・助教・西アジア考古学・西アジア;アフリカ考古資料の解析
佐野勝宏:東北大学・大学院文学研究科・助教
連携研究者
小野:明治大学黒耀石研究センター・センター長・ヨーロッパ考古学;ヨーロッパ考古資料の解析
大沼克彦:国士舘大学イラク古代文化研究所・教授・石器技術研究;石器製作実験
松本直子:岡山大学社会文化科学研究科・准教授・認知考古学;認知考古学的解釈
研究協力者
長井謙治:東京大学・総合研究博物館・特任研究員
仲田大人:青山学院大学文学部・講師・旧石器考古学;石器資料の解析
長沼正樹:北海道大学・アイヌ・先住民研究センター・学術研究員・北ユーラシア考古学;シベリア考古資料の解析
近藤康久:東京工業大学・大学院情報理工学研究科・日本学術振興会特任研究員
海外共同研究者
Olaf Jöris:ドイツ・ローマ・ゲルマン中央博物館旧石器時代研究部門 ・研究員
招待研究者
高倉:北海道大学・文学研究科・助教
研究課題名:北海道の旧石器時代石器群における石器接合資料分析をもとにした学習行動の復元
日暮泰男:大阪大学・大学院人間科学研究科・助教
研究課題名:投擲運動の学習プロセスの解明
全体研究計画(2010―2014)
学習(教育)は人類の生存戦略を決定的に左右する。考古資料は先史時代の学習行動を語る唯一の物証である。本班は、考古学的証拠の収集と分析を通して旧人・新人の学習行動の違いを実証的に解明することを目的とする。学習の場であった遺跡の構造及び学習の所産である石器製作伝統の時空分布と消長パタンを復元・分析し、両者の学習行動を実証的に再構築する。その違いによって、学習仮説に基づく旧人・新人交替劇モデル構築に寄与する。
ユーラシア大陸西半の交替期の旧石器時代遺跡・遺物を材料として次の研究をおこなう。①旧人・新人遺跡の生活層における石器分布の構造及び製作伝統の通時的変化を分析し、両者の学習行動の違いを示唆する物証を提示する。②交替期の遺跡の文献データを集成、分析し、石器製作伝統の消長パタン、時空分布のあり方、新伝統出現の契機など、文化の伝達継承、創造行為に関わる証拠を旧人・新人間で比較する。③石器製作実験を実施し、学習行動と石器製作伝統形成過程の相互作用を実証的に解明する。旧人・新人は技術の教示法を異にしていた可能性があり、実験は社会学習の内容の違いに焦点をあてる。④以上の結果をもとに両者の学習行動の性質、差異を明らかにし、旧人・新人間で技術格差、交替劇が生じたメカニズムを論じる。
2010年度研究実施計画
(1) 学習行動の考古学的証拠の抽出、分析
考古学的証拠は学習の痕跡をとどめる唯一の物証である。では、どんな痕跡がどのように証拠に残されているのか。考古学的証拠には学習の場である遺跡と、産物である石器とがある。それらを分析して旧人・新人の学習行動の痕跡について調べる。
(2) 石器製作伝統の継続・発現パタンの分析
石器製作伝統の継承は社会学習、新伝統の発現は個体学習の反映と考えられる。したがって、旧人・新人間の石器製作伝統のあり方を比較することによって学習行動の違いの一端に接近可能である。両者の石器製作伝統の時空間分布にかかわる広範な情報収集を開始する。
(3)学習法と石器製作伝統の性質との関係の分析
旧人・新人間における石器製作伝統の継続(社会学習)・発現(個体学習)パタンの違いは、両者の学習方法の違いを反映している可能性もある。その解釈にあたってのモデルつくりのため、学習法の違いが石器製作伝統の形成プロセスに与える影響を明らかにする。
(1) 学習行動の考古学的証拠の抽出、分析
先史人の学習行動にかかわる研究は少ないながらも近年、増加しつつある。先行研究のサーベイをおこない主たる証拠、論点を整理する。一方、独自の事例分析にも着手する。対象とするのは、シリア、デデリエ洞窟など旧人・新人段階の生活面を良好に残した遺跡、およびそこから得られた石器標本である。それをもとに、彼らの学習行動に関する具体的証拠を抽出、解析する。
(2) 石器製作伝統の継続・発現パタンの分析
旧人・新人交替劇の舞台となったアフリカ・ユーラシア西半地域において良質な発掘データの得られた遺跡を選定し、発掘報告書類の収集、解析を実施する。それは石器製作伝統の時空間分布や自然環境の変異・変遷との関係を旧人・新人間で比較分析するための基礎資料である。遺跡データベースを設計、構築した上で、研究参加者が地域分担して作業を開始する。
(3)学習法と石器製作伝統の性質との関係の分析
異なる学習法が石器製作伝統の継承や変異パタンに影響を与えたとする既存の理論研究がある。また、技術の違いによって学習すべき知識の内容は異なる。それらをふまえて現代人の初心者を対象とした実験プログラムを設計し、石器製作にかかわる学習実験を実施する。

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